EIA-232 (RS-232) 高速伝送ケーブル

「EIA-232」(ITU-T V.28) は本来 15 m 程度の近距離で、20kbs 以下の伝送速度で 使う目的で作られたインタフェースですが、当初の意図であったコンピュータとモ デム間の接続から、広範なデバイスの接続に流用され、伝送速度も飛躍的に上がっ てきたため、20kbps で 15 m 以下というのは現実的ではなくなりました。

「3227」高速シリアル伝送ケーブルは「EIA-232」規格の制限を越えた伝送を可能 にするために特別に設計されたケーブルで、「EIA-232」インタフェースによる、

  1) より高速で
  2) より遠距離
の伝送を行いたいというニーズに対応します。

従来のケーブルによる伝送例

以下の測定例は「Intel PD440FX Motherboard」に内蔵されたシリアル・ポートと 「USRobotics Sportster Modem」を 22 AWG PVC 絶縁のケーブル (2690) で接続 したものです。伝送速度は最近のニーズに合わせた 115kbps になっています。

ドライバの出力波形

V.28 では slew rate を 30V/us に制限していますが、このドライバでは 20 V/us 程度になっていて、良質な負荷を直接接続したとしても、200kbps 程度が伝送速度 の限界になります。

2690 を 10 m で使った場合

多少悪化しているのがわかりますが、十分な余裕があります。

2690 を 20 m で使った場合

明らかに立ち上がりが遅くなっていますが、まだ使えます。上記の結果と比べると、 30 m 程度が限界になりことがわかります。

「3227」ケーブルによる伝送例

3227 を 20 m で使った場合

ケーブルなしの直接接続とほとんど変わりません。

3227 を 50 m で使った場合

先程の一般的なケーブルの 20 m の場合と同じくらいに見えますが、実際には 4.5 倍の差があります。

3227 を 209 m で使った場合

他のすべてのデータは 115kbps の伝送速度ですが、これだけは、ケーブルの長さが 長いため、19.2kbpa になっています。200m にもなると、38.4kbps 程度が限界にな ります。

選択と利用の指針

「EIA-232」の条件では、次の指針が理論的に証明できます。

  1) 使用可能な伝送速度と伝送距離は反比例する。
この結果から、例えば、2690 による 64kbps の伝送では、100 m 程度が限界になる ことがわかります。3227 なら、その4倍程度の距離でも使えます。なお、伝送速度 と距離の限界はケーブルだけで決まるわけではなくて、ドライバとレーシーバも深 く関係することに注意してください。特に、ドライバの出力インピーダンスが低い と極めて有利になります。

3227 の概略仕様

  仕上り外形          7.3 mm (Dsub 9P コネクタにも適合)
  導体サイズ          28 AWG
  キャパシタンス      37 pF/m typ. (信号ライン-残りのすべての導体間)
                      82 pF/m typ. (制御ライン-残りのすべての導体間)
  相互キャパシタンス  3 pF/m typ. (信号ライン間)
                      6 pF/m typ. (信号ライン-制御ライン間)
                      32 F/m typ. (制御ライン間)
  シールド            総合編組
  柔軟性              極めて柔軟