私の勤務先の向かいに馬小屋があって、 陸の孤島「塩尻」を訪ねてくれたお客さんは 「わあ、馬が居る」と感激します。人も馬も、食用であることを知りません。
ところが、そこでは毎年夏から秋にかけて、蝿の大発生。
外気が暖かいうちは良いのですが、秋になると暖かい部屋に入ろうとして、多量の 蝿が我々の心もとないバリアである、網戸に張り付くことになって、 一瞬の人の出入りなどで開いたドアから室内に飛び込みます。
この時期、我々も仕事を後廻しにして、 蝿叩きを持って社内を飛び回ることになるのですが、 お客さんがくると大変。
人間の反射神経よりも速く、 お茶を入れたとたんに、スーパーマンみたいに、 お客さまの茶碗に蝿が飛び込む のです。ひどい時は茶碗の中が蝿でいっぱいになって、お茶が見えなくなったことも ありました。
そのとびこまれた、お客さんの何人かが口にしたのが 「蝿のふるさと、塩尻市」。
「ふるさと」がでてくるあたりは、霞ヶ関官僚のお仕事の反映だと思いますが、 思い余って、 市役所に電話したら「ここは農業都市ですから、厩の主にも生きる権利がある」。
うーん、蝿にも生きる権利はあるんだろうなあと考えるのが「郷に入っては郷に 従え」という諺の心かと思いました。
蝿退治に予算を計上した中国とは大違いで、 やはり、お役所公認の「蝿のふるさと、塩尻市」かと思いましたが、 最近は市役所も電話すれば持ち主に注意ぐらいはしてくれるようです。